トマトのブログ

好きなものは好きだと開き直った結果がこれです

新時代の幕開けは背番号14と共に。

令和元年5月1日。そんな特別な日に石田は帰ってきた。

 

前夜からなんとなく予感はしていたのだ。一方で予感は予感にすぎないとどこか冷めている自分もいた。だから朝ツイッターを開いて目に飛び込んできた「ハマスタで石田目撃」という文字も、にわかには信じがたかった。公示が出てもそれは変わらなかった。

石田がハマスタで投げる。

3月2日の日ハム戦で肘を痛めてから約2ヶ月間、毎日気が気でなかった。石田の離脱が発覚すると迷わず長浦に向かっていた。その足で鎌倉に行き、すがるような思いで御守りを買った。自分が長浦に行けない日も欠かさず情報をチェックした。4月16日、ジャイアンツ球場で石田の実戦復帰登板を見届けた。20日横須賀スタジアムでは久々のアポロに血が沸き立った。そして27日の鎌ヶ谷スタジアム。石田のピッチングはいつ一軍に呼ばれてもおかしくないと感じさせる内容にまで仕上がっていた。

そうやってできる限り石田の経過を見てきたからこその予感だったのだろう。自分の目に狂いはなかった、などと誇れたら良かったのだが、私にそんな余裕はなかったし、そう思えるほどの行動もしていないのが事実である。

覚悟はできていたはずなのに、焦りと緊張で気が狂いそうだった。

どうしよう。どうしよう。どうしよう。

動転する私をよそに、その瞬間は確かな足取りで刻一刻と迫っていた。

7回表。大貫が西田にフォアボールを許し、マウンドに内野陣が集合する。

あ、番長だ。まだ交代はしないかな。あれ、ラミちゃんも出てきた。ピッチャー交代か、誰だろう。もしかして石田?まさかね。でも試すならここかな。

 

この日をずっと待ち望んでいた。だからこそ怖くもあった。全身の震えが止まらなかった。でも逃げてはいけないと思った。一ファンとして、ちゃんと見届けよう。ハマスタに帰ってきた石田をこの目に焼きつけよう。そんな決心をした。

 

雨の降りしきるハマスタにアポロが流れる。

石田だ。

石田が帰ってきたんだ。

 

気がつくとリリーフカーに乗った石田の背に向かって「おかえり」と叫んでいた。


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リリーフカーを降りた石田がハマスタのマウンドに向かう。土の感触を確かめるように地面を蹴る。帽子のつばに少し触れてから、セットポジションに入る。そうしてようやく石田の手からボールが放たれる。全てが神聖な儀式のようだった。

 

私はそれをカメラ越しに見つめていた。手は勝手にシャッターを切っていた。一瞬も見逃すまいという気持ちがそうさせたのだろう。一方で頭は気味が悪いほど冷静だった。

初球は145km/hのストレート。アウトコース低めにやや外れた。

スピードはここ最近でいちばん出ている。緊張からか少し力んでる印象だけど、球は悪くなさそう。これなら大丈夫かな。

違う。そうじゃない。もっと何かあるだろう、泣くとかはしゃぐとか。分析なんかしてる場合ではないのに。

あれ、ストレートばかりだな。何か意図があるんだろうか。スピードは出ているし今日はストレートで押していくのかな。

感情が迷子になってしまった私はそうやって拙い分析を繰り返すしかなかった。

その後太田にフォアボールを許すも、それに対する焦りは不思議となかった。抑えてくれると信じていたのだと思う。

期待通りという言葉が正しいのか分からないが、石田は青木、山田を三球三振に打ち取った。鮮やかだった。

ライトスタンドから温かな拍手が送られる。

石田、愛されてるんだな。信じて待っていて良かった。石田のファンになって本当に良かった。

ようやくそんな感情が湧いてきた。

石田ありがとう。おかえりなさい。


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令和の始まりと共に石田もまた始まった。

今年の石田は、きっと輝いてくれる。